資金調達のために銀行などの融資を利用すれば会計上は負債が増えることになります。
負債が増えることは会社の財務基盤が弱いという評価を受けるので、取引先との関係や補助金等のコンペに参加する際などにチェックされて低評価を受けます。
同じ資金調達に利用されるファクタリングは負債が増えないというメリットがあるので、本章ではその理由について詳しく解説していきます。
負債は借り入れによって増加する
負債とはマイナスの財産のことで、言い換えれば「債務」と呼ぶこともできます。
一般の個人の借金事案では「債務者」という言葉があるので、こちらの方がしっくりくるかもしれませんね。
同じように企業でも借り入れをすれば利子を付けて返さなければならない義務が生じます。
債務と同じ意味である負債が多い企業は「借金を多くしている会社」として認識されるため、信用が弱くなります。
これにより、新規の取引を敬遠されたり、新たな融資の打診の際に断られやすくなるなどの弊害がでます。
ファクタリングで負債が増えない理由
ファクタリングは借り入れや融資とは根本の性質が全く異なり、融資のように外部の資本に頼るものではありません。
掛け取引で自社のサービスや商品を売った時には売掛債権が発生しますが、これは将来支払いを受けられるプラス資産の部類です。
ファクタリングはこの売掛債権を譲渡して現金化するものですので、自社の資産の形を変えただけです。
同じプラス資産である債権を現金という形に変えただけで、他所から資金を引っ張ってきているわけではないのです。
ですから将来返済が必要になる事はありませんし、利子の負担がでるということもありません。
負債が増えないメリット
企業経営上で負債が増えないメリットは多くあります。
ここでまとめて見てみましょう。
①返済義務・利子負担が生じない
まずは上でも見たように返済義務や利子負担というものが生じませんから、債務者の立場になる事がありません。
他者に頼らず自力での資金調達が可能で、将来の返済資金用意のためにあれこれ考えたり心配したりする必要はありません。
②倒産リスクが生じない
黒字経営でも急な資金ショートで倒産の危機が生じることがあるので注意が必要ですが、基本的には借金が無ければ会社がつぶれるということはありません。
会社がつぶれるのは借金を返せなくなった時ですから、借金がなければ倒産リスクにおびえる必要がないのです。
なお急な資金ショートの危機にはファクタリングによって迅速な資金確保ができるので、ぜひ検討してください。
③融資の際に見栄えが良い
仮に銀行やノンバンク、日本政策金融公庫といった金融機関から借り入れを検討する場合、それまで借り入れをしたことが無ければ財務諸表上は負債がないので、見た目の印象をよく見せることができます。
これにより融資妥結を取り付けやすくなります。
④取引先に信用を示せる
新規の取引先を開拓する際には、相手の会社も信用をチェックしたいので財務基盤をチェックされることがあります。
負債が多いと信用面で難ありと評価され、取引を断られてしまう可能性があります。
借り入れに頼らない企業は独力で運営できていると評価されるので、信用を上げることができます。
⑤コンペ等で不利にならない
補助金等のコンペに参加する際にも財務体力がチェックされます。
同じような会社が複数候補に挙がっていて甲乙つけがたい状況の時、負債が多い企業と少ない企業では後者の方が選ばれる可能性が高いでしょう。
普段からできるだけ負債を少なくしておくことは、様々なシーンで有利に働きます。
まとめ
この回ではファクタリングが負債にならない理由について見てきました。
おなじ資金調達でも借り入れや融資は負債が増加し、ファクタリングは負債が増加しません。
借り入れや融資は他者の資本に頼るもので、将来返済の責任が生じるため負債が増加します。
ファクタリングは自社が保有する資産を現金化するものですから、他者に頼る必要がないので負債が増加することはありません。
負債が増えないことは様々なシーンで有利に働くので、普段からできるだけ負債が増えない企業運営に努めてください。