日本の円安が始まったのは2023年の初頭頃だったと思いますが、2024年の今もなお続いています。
これまで国や日銀の政策動向など色々と動きもあったものの、今現状でもまだ円安であることに変わりはありません。
ただ直近では強めの政策変動があり、今後の変化に注目が集まっています。
本章では現状の円安状況や今後の日本経済について考察してみたいと思います。

マイナス金利解除の効果はどうだった?

マイナス金利解除の効果はどうだった?

直近では日銀がマイナス金利を解除するという大きな動きがありました。
国内の賃上げ機運などを考慮した決断だったわけですが、これが円安の歯止めになる期待が持たれていたのは事実です。
ただ実際にはマーケットの動きに大きな変化はなく、円高に振れるどころかさらに円安が進む状況も見えます。
日々の動きは振れ幅があるので今後については予測が難しいですが、圧力としては円安方向に向いているというのが多くの方の実感ではないでしょうか。
日銀からは今後の利上げに関して強い表明がないため、こうした姿勢が消極的とマーケットには映ったのかもしれません。

一時155円台まで円安が進む

一時155円台まで円安が進む

実際、足元では円安が続いている状況で、少し前には1ドル155円台前半となったこともありました。
政府は良くない流れに歯止めをかけるため、積極的に口先介入を図っていましたが、これがちょっとやり過ぎ感があり、かえって足元を見られる形となっていました。
口先介入というのは、政府や金融当局の高官が、過度な円安には市場介入を行って人為的な操作を行うということを明に、もしくは暗に表明することを言います。
国が強制的な力を働かせてマーケットを操作することを予告すれば、思わしくない円安の流れに冷や水を浴びせる形で牽制することができます。
実際には介入しなくても、「いつでも介入するぞ」と警告することでその効果を発揮するものですが、テレビカメラの前で毎度同じ内容や口調で話すものですから、マーケットに足元を見られているという指摘もされていました。

ついに政府が介入か!?

ついに政府が介入か!?

そうした雰囲気についに業を煮やしてか、日本政府が実際に市場介入を図りました。
今月二日には1ドル153円台まで値上がりし、円安に一定の歯止めがかかることとなりました。
今回は政府から介入を行ったという明示的な報告はなく、財務省の事務次官も「私から申し上げることはない」と短いコメントがあったのみです。
ただ市場関係者や有識者からすれば市場介入を図ったのはほぼ確実とされています。
今回、どれくらいの規模で介入がされたのか、各方面で分析がなされています。

どの程度の介入規模だったのか?

どの程度の介入規模だったのか?

ある見方によれば、今回の介入はおよそ3兆円程度の規模だったのではと見られています。
一時的に振れ幅を見せましたが、介入の影響度合いというところで見ればマーケットに決定的なくぎを刺すまでには至っていません。
今回の介入については効果は弱めと考える関係者が多いようです。
市場介入に用いられる原資は外貨であり、介入原資はそれほど豊富にあるわけではありません。
ですから日本政府が市場介入を図るとしても、その力は大きくならないだろうとマーケットに思われれば、介入の効果は限定的になります。
足元を見られればどこまでも付け込まれることになるので、政府関係者は難しいかじ取りを担っていると言えます。

日本の経済界はどう見ているか

日本の経済界はどう見ているか

ところで、日本の経済界はこうした動きをどう見ているのでしょうか。
為替は輸入企業か輸出企業かで恩恵が180度変わるので個別企業で考えは違うと思いますが、今月に入って経団連の会長さんが日本経済全体を見ての講評を述べています。
経団連としても昨今の円安はあまりにも行き過ぎていて、歯止めをかけるべきというのがその意見でした。
1ドル150円はいくら何でも安すぎ、というのが十倉会長の意見です。
為替は日本の力を評価する一つの指標であり、この力が弱いと海外からみられるのは経済全体にとって不都合であると彼は述べています。

しばらくは円安が続くか

しばらくは円安が続くか

今後の見通しについては、確実な予想はできないものの、しばらくは円安状態が続くのではないかと予想します。
ただ、賃上げが積極的に実施されていて経済回復の機運は高まっていますので、経済の好循環が生まれれば上昇スパイラルの波に乗れる期待も持てます。
個人の家計面では物価高で苦しい思いをしている人も多いと思いますが、何とかやりくりして家計防衛を考えましょう。
円安が落ち着けば輸入物価の値下げにつながり、物価高も一息つけるはずです。
政府、日銀はまだまだ難しいかじ取りが求められますが、国民生活や経済回復のためにも頑張ってもらいたいものですね。

まとめ

この回では現状の円安状況や今後の日本経済について独自に考察してみました。
円安は今もまだ続いてはいますが、政府の積極的な介入も見られ、また国内の実体経済にも上昇機運が見られます。
円安自体は今後しばらくは同程度で推移すると思われますが、経済全体のベクトルとしては上昇機運を強く感じています。
期待感を持って今後の動きに注目していきましょう。