経済に新しい息を吹き込む起業家の方々は、社会全体にとっての宝です。
リスクがあっても、それを乗り越えて起業に臨む姿は実に頼もしいですね。
ただリスクには備えなければなりませんから、そのために様々な情報や知識が必要になります。
本章では起業前に知っておくべき知識について横断的に見ていきますので、ぜひ参考になさってください。

起業形態について

起業形態について

起業にあたり優先して考えることになるのが会社の形態でしょう。
どのような形で会社を立ち上げるのかということで、これには個人事業と法人の形態があります。
手軽に始められるのは個人事業で、法人設立にかかる手間や費用を避けて、今すぐにでも事業を始めることができます。
ただし個人事業形態では会社と個人の分離がされないため、事業上で生じた責任は経営者個人にダイレクトに及びます。
借り入れなどの負債だけでなく、取引先とのトラブルで生じた損害賠償責任なども経営者個人が負担することになるので、こうした面ではリスクの高い起業形態です。
法人形態で始める場合は設立のための手間や時間、そして一定の費用がかかりますが、会社と経営者個人の責任が分離されるため、事業上で生じた責任は基本的に経営者個人には及びません。
ただし法人形態であっても、社長個人が会社の借り入れの際などに連帯保証を求められることはよくあり、その場合は保証人としての責任が生じます。
法人は個人事業よりも信用が出るため、資金調達がしやすかったり取引先の確保が容易というメリットがあるので、多方面との取引を予定している、まとまった資金調達が必要という場合は法人が適しています。
逆に、それほど多くの資金を必要とせず、スモールビジネスとして始めるならば個人事業がお勧めです。
最初は個人事業で始めて、事業が軌道に乗ったら法人成りを考えるということもよく行われていますから、予定している事業内容を精査してどちらで始めるべきか考えてみてください。

許認可の必要性について

許認可の必要性について

事業内容によってはただ起業するだけでは進められないこともあります。
いわゆる許認可が必要な事業の場合、事前に行政に手続きをとらないと事業を行えません。
飲食業の場合は管轄の保健所に届け出が必要ですし、人材派遣を行う場合には労働局で許認可の申請が必要です。
許認可を得るには一定の要件を満たす必要があり、資本要件や事業所の床面積などが絡んでくることもあります。
事業の稼働を見据えるうえで、要件をクリアできるように時間に余裕をもって準備しましょう。

資金調達の手段・方法

資金調達の手段・方法

事業資金の調達は起業家だけでなく、先行者たる経営者にとっても重要な課題です。
昔は資金調達と言えば銀行融資一辺倒だった時代もありましたが、今では多様な資金到達手段が用意されています。
起業家、経営者としては多様な資金調達の手段があることを知っておき、うまく使い分けられるようにしておきたいものです。
直接の銀行融資(プロパー融資)以外にも信用保証協会を利用した制度融資があったり、起業家も利用できる日本政策金融公庫の融資もあります。
これらは公的な支援策であるため利用には一定の要件がありますが、可能であればぜひ利用しましょう。
金利は高くなりますが、ノンバンクのビジネスローンも利用でき、不動産などの担保があればまとまった資金調達ができます。
ただこうした金融機関は相手の信用を重視しますから、経営実績が短い会社や赤字があると融資を断られてしまいます。
その点、ファクタリングであれば事業歴や赤字などは関係なく、売掛債権さえあれば資金化ができます。
弊社でも創業間もない企業からの相談が多くあり、需要は多いと感じております。
最近はクラウドファンディングで成功を収める起業家の方も多く出ていますので、アイデア次第で柔軟な資金調達が可能になっています。
ぜひ斬新で新鮮な発想を持てる起業家の強みを生かし、広く資金集めができないか考えてみてください。

労働法制について

労働法制について

人を雇うことになる場合、労働関係の法令やルールについての知識も必要です。
有名な労働基準法以外にも、被雇用者の社会保険や労働保険のルールを扱う別の法令もあります。
一人でも雇う場合は労働法制に関する知識が広く必要になるので、その予定がある場合は事前に余裕をもってセミナーや勉強会に参加し、知識や情報を仕入れておきましょう。

地元で利用できる支援組織

地元で利用できる支援組織

そしてぜひ調べておきたいのが、地元で利用できる起業家支援の組織についてです。
事業全般の相談ができる商工会や、税金面の相談ができる青色申告会などは事業者にとって心強い味方になってくれます。
資金面での公的な支援機関である日本政策金融公庫の窓口がどこにあるかも、ぜひ調べておきましょう。
こちらは銀行のように多くの窓口がなく、県庁所在地などに集約されていることが多いです。
その他、各種のビジネス団体などについても役に立ちそうなものがないかどうか調べておくと良いでしょう。
ただし、中には怪しい団体もあるので、信用できる機関かどうかは念をいれて調べるようにしてください。
起業家をカモにするマルチや投資勧誘などを仕掛ける怪しい団体、組織もありますから、こうしたものには十分注意しましょう。

まとめ

本章では起業前に知っておくべき知識について横断的に見てきました。
目先の優先順位としては起業の形態や許認可のハードルなどもありますが、起業した後の資金調達や法令関係への意識も持っておくことが望まれます。
可能であれば、こうした知識や情報をまとめて仕入れられる勉強会に参加するのがお勧めです。
怪しい団体が主催するものは避け必要がありますが、自治体などが主催する起業塾や各種セミナーは安全ですし、確かな情報が得られるのでお勧めです。
ぜひ積極的に参加して知識吸収に努めてください。