貯蓄から投資への大号令がかかってかなり久しいと記憶しますが、実務上も貯蓄だけに頼る人生設計はリスクをもたらす時代となっています。
リスク許容度に余裕のある若い世代は積極的な資金運用を考えるべきですが、我が国はこれまで投資に対して諸外国ほど教養を高める姿勢を進めてこなかった経緯があります。
投資への積極的な取り組みを後押しする時世となってきたのはここ十数年ですから、若い世代の方は投資に関して基礎的な知識やノウハウを自身で学び、吸収していく姿勢が求められます。
本章では主に初心者の方のために、賢くお金を運用するための基礎知識についてお伝えしていきます。

最初から多額の投資をしない

最初から多額の投資をしない

ライフプランニングや金融に関するリテラシーが低い方に見受けられる懸念点として、十分な教育やトレーニングを受けていない段階でいきなり高額の投資をしてしまうことがあるので、初心者の方はまず少額からの投資で地ならしをして頂きたいと考えます。
ともすると現在は投資に関する情報があふれていますから、慣れない段階でこうした情報に触れて「今すぐ始めないと損をしてしまう」と感じて焦る人がいるのも事実です。
確かに後述するように投資は時間を味方につけるのがセオリーとされていて、開始が遅れると投資のうま味を得にくい面があるのは事実です。
しかしその出遅れ分を取り戻そうとして最初から多額の資金を投下するのは危険が伴います。
確実に利益の出る投資に資金を投下できればいいですが、知識もノウハウも無い状態ですから、自身が触れた情報やノウハウをそのまま信じて多額の資金を投入するのは危険です。
触れる情報やノウハウが正しいかどうか、妥当かどうかの判断自体ができない段階であるということを自身で理解していないと、真偽不明の情報に踊らされて損失を被ってしまう危険があります。
どれだけ事件報道がされても投資詐欺が減らないのはこうしたリテラシーの低さが多分に影響しているものと思われます。
皆さんも十分注意してください。

あくまで余裕資金で行う

あくまで余裕資金で行う

実際に投資に投下する資金はあくまで余裕資金で行うようにしましょう。
生活に必要な資金を投入してはいけませんよということですが、これをこなすには生活資金と余裕資金の区分けを行わなければなりません。
前提として家計管理ができていなければならず、これを踏まえて普段の生活でどの項目でどれだけの支出があるのか、収入に対し何パーセントが食費にかかり、何パーセントが光熱水費にかかり、居住費、被服費、車両費、教育費などにいくらかかって、余剰となるのはいくらなのか、という区分けができていないと判断できません。
まずは生活費の詳細を割り出したうえで、投資に回せる余裕資金がいくらくらいあるのか試算してみてください。

分散投資を意識する

分散投資を意識する

初心者の方は当初は安全性重視の姿勢で臨むのがお勧めです。
ある程度経験を積めば損失を被ったとしても経験として次に生かせますが、経験が無い段階では損失を被っても、その経験を次に生かすことができない可能性があります。
それだと、ただ単に損をしたということになり意味がありません。
初心者の方は安全性を重視し、積立投資や分散投資によってリスクをおさえることを意識しましょう。
ドルコスト平均法といって、特別な知識が無くても継続して一定の資産を積み立てていく方法や、性質の異なる資産に分散して資金を投下する分散投資という方法が推薦されます。
積み立て、分散投資は割と平易な概念ですので、ぜひ検索するなどして調べてみることをお勧めします。

長期目線で取り組む

長期目線で取り組む

投資は時間が武器になるので、若いうちから取り掛かることが勧められます。
取り組みが遅くなると時間という武器が使えなくなるので、その分多額の資金を一気に投入して挽回したいと考える人がいますが、これは危険ですから思い止まってください。
出遅れた分は仕方ないとあきらめることが大切ですが、投資の時間的有効性に気づいた人はできるだけ早期に投資を始めてください。
投資で得た儲けをさらに投資に投下することで、複利利益による雪だるま式の利益を得ることができます。
投資は長期的な視点で資産運用に取り組むものだという意識をぜひ持って頂きたいと思います。

具体的な運用手段

具体的な運用手段

実際の投資手段は実に多様でリスク度も大きく異なります。
安全資産とされる預金にも実際には多くの種類があり、金利が付く時代となったこれからは選び方に一定の配慮が必要になるでしょう。
話題のNISAやiDeCoも要注目ですし、投資信託や債券、株式など投資商品は多種多様です。
それぞれの特徴やメリットを捉えて自身にあった商品を選べるようにしたいものです。

まとめ

本章では賢くお金を運用するための基礎知識について見てきました。
投資に慣れていない人はつい身構えてしまいがちですが、リスクを知ったうえで少しずつ知識やノウハウを身につけていけば、リスクを避けつつ効果的な投資を行えるようになります。
いきなり実資産を投下しなくても、まずは投資の勉強から始めてみることに損はありません。
学ぶ楽しみを感じながら投資に関する知識を少しずつ身につけていきましょう。