2024年7月から、いよいよ新紙幣が発行されることとなりました。
日本では偽造防止の観点などから一定のスパンで新紙幣の発行が行われており、これは通貨が強い海外の国でも同様です。
紙幣の刷新にはかなりのコストがかかりますが、通貨が強く流通が多い国の宿命とも言えます。
日本の新紙幣発行を巡ってはキャッシュレス化にも大きく影響するという指摘もあるので、本章では新紙幣発行の話題と一緒にキャッシュレス化の関係についても深堀してみたいと思います。

偽造防止だけではない、国の狙いとは?

偽造防止だけではない、国の狙いとは?

すでに新紙幣は市場に流通していますが、実際にはまだ目にしたことが無いという人も多いのではないでしょうか?
7月の市場投入直後、地方の金融機関ではATMで新紙幣が下りてこないのが普通で、今でも手元にあるのは旧紙幣だけという人もいると思います。
末端まで浸透するにはある程度時間がかかるので気長に待ちましょう。
ところで、新紙幣発行の目的は偽造防止がメインとなっていますが、実はそれだけではありません。
新紙幣への刷新は国内のタンス預金のあぶり出しが隠れた目的であることをご存じでしょうか?
タンス預金とは、国民が銀行などの金融機関ではなく、自宅に保管してある資金のことです。
誰でも日常の生活資金としてある程度の現金は自宅に保管していると思いますが、色々な目的で生活資金以上の多額の資金を保管するケースもあります。
例えば相続対策などがそれで、相続税を課されないように自宅の金庫に現金を保管しておこうとするケースはよくあります。
しかし新紙幣が発行されると、近いうちに銀行などに入金しないと古い紙幣のままです。
後で多額の古い現金を使ったり、銀行に預けようとすると怪しまれて税務署に通報されることがあるため、早めに新紙幣に代えておきたいという思惑が入り、タンス預金が市場にあぶり出されるわけです。
タンス預金自体は別に違法ではないのですが、国内のタンス預金は実際相当な額にのぼるとされているので、適正に課税をかけるためにも国としてはこの資金をなんとか引っ張り出したいのですね。
生活資金レベルであれば少しずつ使えばいずれは新紙幣に切り替わりますが、多額の現金を自宅に保有している場合は切り替えに苦労するかもしれません。

新紙幣がキャッシュレスを加速させる?

新紙幣がキャッシュレスを加速させる?

さてその新紙幣ですが、実はキャッシュレス化を加速させるのではないかと言われています。
新しい硬貨が発行されるときもそうですが、現金が新しくなるとお店などで収受するための機械を全面的に買い変えなければいけません。
小規模の店主にとってこれがかなりの負担になっていて、新紙幣の対応に手間やお金をかけるくらいだったら、いっそのこと全面的にキャッシュレス化に舵を切ろうと考えるところも出てきています。
あるラーメン屋さんでは現金の扱いを一切やめ、キャッシュレス決済一本に切り替える例も実際でています。
気になるのがこれによる売り上げの減少ですが、このラーメン屋さんでは売り上げが落ちることはなかったといいます。
現金派のお客さんが減るのは心配ですが、昨今は何らかのキャッシュレス決済の手段を持っている人が大半ですから、必ず売り上げが落ち込むとは限りません。
今現在どうしようか悩んでいる事業者も、一度完全キャッシュレスに切り替えてみて、もし不都合があれば現金の扱いを再び始めるという選択もできます。
今は新紙幣対応の機械が足りない状況で、導入したくてもできていないお店も多いです。
少しすればこの状況は落ち着くでしょうから、その時に現金の再使用を検討するということも十分可能です。
お店側にとっては現金よりもキャッシュレスに舵を切った方がメリットが大きいので、この点を次の項でまとめてみましょう。

事業者側のキャッシュレス化のメリット

事業者側のキャッシュレス化のメリット

事業者にとっては、現金を使わずにキャッシュレスに切り替えることで以下のようなメリットがあります。

①やりとりの手間がなくなる

現金を受け取って計算し、レジに納入してお釣りを返すというのは地味に手間です。
忙しい営業中にこの手間が無くなるのは大きなメリットです。

②人件費の削減につながる

事業主でなくスタッフが金銭の授受をしている場合、その分の人件費削減につながります。
コスト圧縮につながった分をキャッシュレス機器に振り向けるという考え方もできますね。

③盗難リスクがなくなる

現金を扱っていると盗難や強盗にあうリスクが常にあります。
ニュースなどで現金泥棒の話題が上がると「物騒だなあ」と思いますが、キャッシュレスならこの心配がいりません。

④改修費用が安く済む

新紙幣に対応する機械の導入には多額の費用がかかります。
キャッシュレス決済対応の機材の方が安く済むことが多く、目の前のコスト管理の面でもキャッシュレスに分があります。
このように、キャッシュレス化は事業主にとってメリットが多くあるので、現金に見切りをつけてキャッシュレス化を検討する事業者が増えているようです。

まとめ

本章では新紙幣発行と国内のキャッシュレス化の話題を絡めてみてきました。
今はまだレアキャラ的な存在かもしれませんが、新紙幣が流通し出して1ヶ月以上経ちますので、これから徐々に私たちの手元に普通にみられる存在になるでしょう。
ただ現状では新紙幣に対応していないお店の方が多い印象ですので、もうしばらくは手にしても使えないということがあるかもしれません。
消費者としては、もう少しの間は旧紙幣を財布に入れておいた方が良さそうですね。