起業ブーム、プチ起業ブームなどのワードはかなり前から聞かれていますが、短期的な一大ムーブメントというよりは少しずつ浸透しながら時代と共に形を変えてきているように思えます。
最近では「副業」というキーワードが主流になっていて、これも起業、プチ起業と大体同意であると捉えて良いでしょう。
副業は他に本業があることを前提とした言葉ですが、副業から本業に育て成功に繋げるケースは多く見られます。
この回では日本での起業の現状や成功させるポイントについて見ていきたいと思います。

日本は起業家が育ちにくい環境

日本は起業家が育ちにくい環境

日本は以前から海外と比べて起業家が育ちにくい環境だということが方々から指摘されています。
これは個々人の安定志向か強く、リスクのある起業家の道を積極的に選択する人が少ないからという意見が聞かれますね。
確かにその通りなのですが、これは個々人の意識付けに決定的な影響を及ぼす教育環境が強く影響していることは確かです。
アメリカなど欧米では起業家マインドを養う教育がなされているので、自分で事業を始める意識を持ちやすいとされているところ、日本では起業、あるいは企業経営という目線で教育の時間を取ることはしていません。
高校や大学の商学部、経済学部などの段階では別ですが、義務教育の過程で起業家マインドを養うような体系的な教育課程は現在のところありません。
起業家養成の環境が不十分であることが、安定志向の強い日本人の形成に寄与しているというのは確かにうなずけるところです。
そして、実際に起業を考える人が出てきた場面においても、失敗した場合の再起が難しいことが起業意欲をそぐ要因になっています。
アメリカでは自己破産を何度も経験して会社を大きくし、その会社も失敗してまた自己破産をし、なおかつ再び立ち上がるということができる環境です。
「金持ち父さん貧乏父さん」のベストセラーを輩出したロバート・キヨサキ氏も二度の自己破産を経験していますが、現在でも普通に会社を経営しています。
失敗しても容易に立ち上がれる環境では、会社を倒産させたという事実自体がそれほど恥ずかしいことではなく、むしろ失敗の経験を積んだベテラン経営者のイメージが持たれます。
日本の場合、会社を倒産させることは負のイメージが強いですし、一度失敗した人は信用をなくしてしまい再起が難しくなるという現状があります。
失敗した場合の再起に関して丁寧なエスコートの体制を整えられるよう国の施策も期待したいところですが、私たちの意識も欧米並みに変えていく必要があるのかもしれません。

起業を成功させるポイントは?

起業を成功させるポイントは?

海外と比べると起業のハードルは高いながらも、多くの起業家が生まれ活躍しているのも事実です。
ここでは起業して成功につなげるためのポイントをいくつか見ていきたいと思います。

①目的を明確にする

なぜ起業するのか、起業することで何を得たいのか、何を実現したいのか、目的を明確にします。
ゴールが明確でないと下で見る事業計画も立てられませんし、漠然とした経営では会社を継続して続けていくことはできません。
最初は「今の会社が嫌だから独立したい」から始まる人もいるかもしれません。
それ自体は否定されるものではありませんが、起業のきっかけになっても目的と言えるものではありませんね。
なぜ起業したいのか、何を実現させたいのか具体的に意識してください。

②マーケティングの意識を持つこと

自分がしたい事業内容があっても、それが社会で求められていることでなければ事業は成立しません。
自分が提供したいサービスなりモノなりが社会ニーズとしてあるのか、しっかりとしたマーケティングを行うことが重要になります。
性別や年齢、居住地などのターゲット層を想定し、どの程度のニーズがあるのか事前に把握することが大切です。

③事業計画を立てる

起業を成功に繋げるには丁寧な事業計画を立てることが不可欠です。
1年程度の短期、4、5年先の中期、10年先の長期のスパンで事業計画を立て、上で見た起業の目的を達成するまでの道筋を描いてください。
事業計画は経営者自身の拠り所となるものですし、社内での目標の共有を行う際にも役に立ちます。
また融資を依頼する場面などでは必ず提出を求められるので、実質的に事業計画の策定は起業家として必須と考えておきましょう。

④差別化を図る

起業を考える多くのケースでは、先行する競業他社がすでにいるはずです。
完全に同じ業態でなくとも、競業他社が全くいないビジネスは稀ですので、ライバルの中でどうやって自社の強みを生かせるのか思案が求められます。
自社(自分)の強みを知ることで競業にニーズを奪われない経営が可能になります。

⑤資金繰りの計画を立てること

多くの経営者を悩ませるのが資金繰りの問題です。
事業計画を立てる段階でも念入りな資金繰りの計画が必要で、十分な安全圏の資金計画を立てておきたいところです。
最近は起業に際して事前にクラウドファンディングで資金集めをするケースもよく見られます。
クラウドファンディングでは、先に資金提供者を募ることでサービスや開発する商品の納入先が確保できるというメリットがあります。
過剰生産をさけて不要な在庫を抱えずにすむという利点があるので、うまく活用すれば失敗のリスクを避けつつ確実な利益確保を実現できます。
ただしクラウドファンディングは必ず成功するとは限りません。
資金集めに失敗した場合に備えて二の手、三の手の準備も合わせて計画を練ってきましょう。

⑥信頼できる相談先をもつこと

経営者は孤独だとよく言われますが、会社の外に信頼できる相談先を持っておくことは経営面だけでなく気持ちの面でも拠り所になります。
直接の利害関係がなく、中立の立場で相談に乗ってくれる相談相手をぜひ持っておきたいものです。
国や自治体などが様々な相談窓口を用意しているので、ぜひ積極的に活用してください。
相談料は基本的に無料です。
本格的に困ってから相談するのではなく、最初は世間話をするつもりで気軽に門をたたいてみるのがお勧めです。
現在起業を準備中ということであれば、すでに相談したいことがたくさんあるかもしれません。
その場合はある程度相談の中身を整理して、書面にまとめておくのがお勧めです。

まとめ

まとめ

この回では起業を成功させるポイントについて見てきました。
海外と比べると起業家が育ちにくいとされてはいますが、意欲のある起業家は実際に多く活躍してますし、成功する例をみると非常に勇気づけられます。
最初はリスクを避けつつスモールビジネスから始めて、徐々に会社を大きくしていければ安定的な成長が望めます。
まずは小さな目標を立てて、その夢を大きくしていけるように計画を練ってみてくださいね。