会社の資金繰りについては、日ごろから目を光らせていないと突然の資金ショートに見舞われる危険があるので注意が必要です。
経営者としては資金繰りを悪化させる要因を避け、万が一そのような事態になった時には速やかに適切な手を打てるようにしておく必要があります。
本章では資金繰りで困った時にできる対策について見ていきますので、ぜひ参考になさってください。

なぜ資金繰りが悪化するのか?

なぜ資金繰りが悪化するのか?

資金繰りが悪化する要因はいくつかありますが、ここでは代表的なものを押さえておきます。
まずは販売不振による売り上げの減少と、これに伴っておきる在庫の積み上がりです。
在庫の増加は必ずしも単純な販売不振だけでなく、社会経済的な要因が絡むこともあります。
次に売掛金の回収の遅れがあります。
取引先の支払いの遅延が起きたり売掛金の回収が上手くいかないと現金収入がなくなり資金繰りが悪化します。
融資への過度の依存も資金繰り悪化の要因になります。
借り入れをすると利息分の支払い負担が増えるので、過度に依存すると返済にかかる負担が事業運営を圧迫します。
その会社の信用の不足も影響することがあり、信用不足によって新たな借り入れができなくなると、いざという時のキャッシュを補充できず資金不足に陥ります。
次の項からは資金繰りを改善するための各種方策について見ていきましょう。

資金繰り表を作成する

資金繰り表を作成する

掛け取引を行っている事業者の方はぜひ資金繰り表を作成してキャッシュの流れを可視化できるようにしておきましょう。
仕入にかかる支払い方面と、取引先からの入金の両面におけるキャッシュの流れを目で見て分かるようにしておきます。
例えば売り上げの入金方面では今月の売り上げに関して6割を掛けで、残りを現金で受け取る場合、今月の入金欄には売り上げの4割しか記載されません。
残りの6割は約定期日の月に入金が加算されるという具合に、キャッシュの流出入時期を可視化できるようにしておきましょう。

支払いと回収のサイトを見直す

資金繰り表を作成することでキャッシュの流れが目で見えるようになるので、これを基にして問題がありそうであれば見直しを行います。
仕入と入金双方で取引先の存在がありますから、場合によっては交渉も必要になります

在庫管理の適性化

不要な在庫ができるだけ積み増しされないように管理が必要です。
在庫は売れ残りですから、需要予測を適切に行うことができれば販売ロスを減らして在庫の発生を減らすことができます。
不良在庫は保管の手間と費用がかかるので、適切な時期に処分を考える必要も出てくるでしょう。
セールを立ち上げて安めに処分することや、専門業者にまとめて引き取ってもらうなどの方法があります。

経費削減を行う

守りの姿勢として経費削減も同時に行うのが理想です。
経費削減は普段から目を光らせておきたいものですが、資金繰りが悪化したときは特に入念にチェックしましょう。
大きめの固定費で見直しができそうなものがあればぜひ実施する他、社員の協力も得て交際費や光熱費、通信費などの支出も削減できそうなものがないかチェックしてみましょう。

未回収金を精算する

未回収金を精算する

もし現時点で取引先からの未回収金がある場合は速やかに回収手段を講じます。
未回収金は放置すると決して良い結果を生みません。
長い付き合いのある取引先でもお金に関してはシビアに対応しないと共倒れになってしまいます。
なお回収不能となった売掛金や貸付金については一定の条件下で損金算入が可能です。

リスケ交渉

自社の借入金について銀行への返済に問題が生じた場合はできるだけ早期にリスケジュールの相談をしましょう。
銀行としては貸し付け相手が倒産して貸付金の回収が不能になってしまうことを一番恐れています。
早期の段階でリスケジュールが可能であれば、返済期間を延ばして少しずつ資金の回収が可能なので、銀行も意外に親身になって相談に乗ってくれます。

資金調達を実施する

資金調達を実施する

攻めの対処法としては資金調達を行って会社にキャッシュを流入させることができます。
資金調達を考えるにあたっては、どのような方法を取るかよく考え、実施後の影響についても理解しておかなければなりません。
ここでは資金繰りに問題が生じた場合に比較的検討しやすい手段を各種見ていきます。

①メインバンクからの借り入れ

付き合いのあるメインバンクに相談して必要な資金を借りられないか相談します。
銀行への返済資金が足りなくなって困っているようなケースでは追加の融資は期待できませんが、仕入れにかかる支払いに必要な資金が不足しているようなケースでは信用さえあれば融資の相談が可能です。

②制度融資

経営状況が良くないなどでメインバンクからの融資がむずかしい場合、信用保証協会の公的な保証を取り付けて融資の打診を行うこともできます。
公的な保証があれば、万が一返済が滞った場合は代位弁済が受けられるので、銀行も融資に応じやすくなります。
ただし利用には一定の保証料の支払いが必要で、代位弁済がされた場合でもそれで債務が帳消しになるわけではありません。
代位弁済後は保証協会が債権者となり、債務者は引き続き弁済の義務を負うことになります。

③日本政策金融公庫からの借り入れ

日本政策金融公庫は信用が弱い中小事業者のために作られた特別な金融機関で、国が100%出資しています。
銀行よりも低金利で貸し付けを受けられるのが強みですが、原資が国民の税金で賄われているため、国の施策に沿う事業内容でなければならないことや、資金の使用用途に制限がかかるなど使いづらい側面があります。
また審査手続きもかなり長期間とられるので、急ぎの事案では間に合わないこともあります。

④クラウドファンディング

広く一般から小口の資金を募ることができるクラウドファンディングは、近年資金調達手段として注目されています。
基本的に集めた資金は返済の必要がなく、安定した事業資金として活用できます。
投資家に対しては集めた資金で開発した製品やサービスを還元することで満足を得てもらいます。
ただし数か月スパンを見積もって資金集めを行う必要があるため、こちらも迅速性が求められるケースでは利用できません。
また注目を集められる事業内容でないと全く資金が集まりませんから、事業倒産など深刻な事態が想定される事案ではクラウドファンディングに過度な期待を持つことは危険を伴います。

⑤ノンバンク

ノンバンクは銀行と違って預金業務を行わず、もっぱら貸付によって商いをする金融機関です。
銀行よりも融通が利き、ケースによっては担保や保証人なしでも小口の資金を借りられることがありますが、金利はかなり高めです。
ノンバンクを利用する場合は金利負担についてしっかり理解したうえで、返済の負担が事業に影響を及ぼさないかどうか精査が必要です。
また一般にノンバンクは銀行からの融資が望めない時に利用されるため、ノンバンクを利用することは信用の低下を招く結果となります。
これによりメインバンクからの印象が一層悪化してしまうことも考えられます。

⑥不動産売却

使っていない不動産があるならばぜひ現金化を考えましょう。
一般に買い手が見つかるまで3ヶ月程度かかることが多いので、できるだけ早く売却活動ができるよう早めに不動産業者に相談するのがポイントです。
事業に必要な不動産の場合は通常の売却ができないのでリースバックを検討します。
リースバックは買い手に所有権を移した後、賃料を払うことで使用を続けることができます。

⑦契約者貸付

会社で契約している生命保険で解約返戻金があるプランに加入している場合、解約返戻金の一定割合の範囲で貸し付けを受けることができます。
保険を解約して解約返戻金を受け取ることもできますが保険機能が失われてしまいます。
契約者貸付を利用すれば保険機能を維持したままで当面の資金難に対応することができます。
貸付ですので利息の支払いが必要ですが、一般的な銀行融資よりは利率は低めとなります。

⑧ファクタリング

ファクタリングは売掛債権を現金化して事業資金として活用するものです。
掛け取引を行っている事業者であれば商品やサービスの販売方面で売掛金が発生しているはずです。
売掛金は期日にならないと入金されないので、そのままでは事業資金として用いることができません。
しかし売掛金は債権という形で金銭的価値を持ちますから、これをファクタリング業者に売却して現金化することができます。
ファクタリングは融資取引ではないので返済や利息の負担は一切発生しません。
また返済という概念がないので利用に際して担保や保証人を求められることもありません。
自力での資金調達が叶うため、融資ではなくファクタリングを資金調達のメイン手段として考える事業者の方も多くなっています。
融資のように審査に時間がかかることもなく、早ければ相談した当日中に現金化できるので急ぎの事案にも対応できます。
資金ショートの危機などには他の方法では対応が難しいことが多いですが、ファクタリングは迅速性が求められる事案に適応します。

まとめ

本章では資金繰りで困った時の対策について見てきました。
経営者としてはまず資金繰りが悪化する要因をできるだけ避けるようにし、どうしてもそのような事態になった時は上で見た各種の対策手段を検討してください。
複数の手段を組み合わせることでより効果が高まりますが、目下の事態改善にはやはり手元資金を確保することが必要になります。
弊社では利用勝手の良いファクタリングをメインサービスとして提供しておりますので、資金需要が生じた際はぜひお気軽にご相談くださいませ。