世の中や社会情勢が流動化している、不確実性が増していると言われることがありますが、実際ここ数年は体感的に政治、経済の不安定化が増しているように感じます。
海外情勢は緊張の度合いが増していますし、第二次トランプ政権発足が決まったことから今後の保護主義的世界の台頭にも懸念が持たれるところです。
金融市場においては一部でこれらの影響が見えていますので、本章では金融市場や業界の最近の動向をポイントで押さえていきたいと思います。
■金融市場・金融業界の動向で押さえる5つのポイント
①インフレと金利の動向
金利や物価の上下は各国個別の要素が働くため一概には言えないものの、世界的にみるとインフレ基調にあることが指摘されています。
IMF(国際通貨基金)は世界経済の成長率予想を2024年は3.2%、2025年は3.3%としています。
IMFはサービス価格の上昇がインフレ基調を押し上げると予想し、これにより高金利が維持されると予想します。
この予想で行くと企業は借入金利の負担が上昇し、経済全体にとっては下降圧力となります。
個別企業にとっては財務方面で負担増の影響が出る可能性があります。
②デジタル通貨
世界の主要国はデジタル通貨について真剣に研究していて、実は我が国もすでに実証実験の段階に入っています。
デジタル通貨は技術的な問題やセキュリティの問題が解決されないと通貨としての安全性が保てないので相当慎重に進めなければなりませんが、近年のブロックチェーン技術の革新がデジタル通貨の安全追及に寄与しているのは明らかです。
国内ではすでに実験段階のフェーズ2にまで進んでおり、民間事業者も巻き込んでパイロット実験がすでに実施されています。
実験用システムの検証は日本銀行主体となって行われ、性能試験が実施、検証されています。
並行して日本銀行を軸にリテール事業に関わる民間事業者との実務的な議論の場も持たれています。
これらの実証実験について適切にフィードバックし、デジタル通貨の研究が鋭意進められているところです。
一般企業でもデジタル通貨による支払いが一般化する時代が少しずつ近づいています。
③サステナビリティ・ESG投資
企業は本来貪欲に「利益」を追及すべき存在であるところ、近年は環境や社会に対しての投資が求められる時代になり、この方面の事業を展開する事業者にとって追い風が吹いています。
資金調達の面でもサステナビリティやESGを意識する事業者は資金獲得が容易となっている反面、これ以外の事業者にとっては風当たりが厳しくなっている印象です。
起業するにあたり、もしくは既存企業もこれからの事業展開を模索するにあたっては環境や社会への影響を意識した内容を盛り込むことで発展しやすくなると思われます。
④地政学上のリスク
世界で大きな紛争が同時に二か所で起きているということで、こちらも強く警戒しなければなりませんが、我が国にとって地政学上のリスクと言えばやはり中国の動向を注視しなければなりません。
権威主義的な国家であり我々とは基本的な価値観が根本から異なる相手とどうやって付き合っていくかは厄介なテーマです。
問題は、中国との経済上の付き合いは避けられないということで、否が応でも付き合う必要があるのですが、この活動上で日本人が拘束され返ってこられない、不当な裁判で有罪となり牢獄にいられるという事案がすでに多発しています。
こうした事態を受けて日本企業の間では、付き合いを完全に無くすとはいかないまでも、少なくとも積極的な進出は避け、投資を縮小する動きが見られます。
これにより国内経済の推進力は下振れする可能性が指摘されているところですが、金融業界としても中国進出のリスクを考えて積極的な投資を控える可能性があります。
⑤トランプ返り咲きで円高基調に?
そしてなんといっても最近の注目はトランプ氏の返り咲きの話題です。
前回の選挙では逆風の中で失速し大統領職を失いましたが、今回の選挙では当初の拮抗予想を裏切り、かなりの大差をつけて選挙戦に勝利しました。
トランプ氏は対日本円で円安ドル高の状況をよく思っていません。
彼はアメリカ国内の産業を活性化させるため輸出に力を入れる姿勢を鮮明にしており、輸出を増加させるために円高ドル安に誘導することを強く主張しています。
円高ドル安になる事で日本側ではモノが買いやすくなり、アメリカ側ではモノを売りやすくなります。
今は政権移行の段階でトランプ氏はまだ大統領職に就いていませんが、当初は就任前でも急激な円高ドル安になり混乱が生じる懸念がされていたところです。
ただ実際にはまだ顕著な動きはなく、引き続き円安の状況が続いているようです。
トランプ氏の大統領就任が近くなる時期にどのように状況が動くのか注視しましょう。
■金融業界との付き合い方が変わる?
一般企業として金融業界とのつながりを考える際、近年発展が著しいオンライン取引の浸透についてはぜひ押さえておくべきです。
金融業界も細かく分けると銀行だけでなく保険や不動産、証券会社なども含まれます。
こうした民間の事業者はシステム化、オンライン化がかなり進んでいて、さらには人材不足も手伝って業務効率化が進み、店舗が閉鎖される例が多くなっています。
銀行では企業体の統合や支店の統合で店舗数が極端に減っているところもあります。
代わりにオンラインでの取引が主流となっているので、付き合う事業者側でもオンラインでのやり取りができないと取引しにくい時代となっています。
保険方面でも法人提案として企業とつきあいがありますが、こちらも効率化を意識して対面を避け、WEB相談やオンライン取り引きを推奨する動きが見られます。
証券方面はかなり前からオンライントレードが浸透しているので、企業や社長個人も自分でポートフォリオを意識して資産形成がしやすい環境になっています。
この点、ファクタリング業界では他の業界に先んじてすでに完全オンライン取引が主流となっていて、地理的要素に左右されず、即日で資金調達できる環境がすでに整っています。
ファクタリング業界のオンライン化は最先端で進んでいますので、迅速、確実な資金調達をお考えならばぜひ検討されることをお勧めします。
■まとめ
本章では金融市場や業界の動向について見てきました。
金融だけでなく経済全体としても不透明さが増している印象があり、今後は世界的な政治経済目線にたって物事を捉えていく姿勢がより求められる時代になりそうです。
第二次トランプ政権発足が近づくにつれて各方面で影響や変化が出るでしょうから、ニュース報道も騒がしくなりそうですね。