金融界隈では円安や株安の話題が長く続いていますね。
株価方面では9月に入った当初に急激な株安が起きましたから、株式投資をされている方はかなり気を揉んだのではないでしょうか?
この回では直近の株式市場で起きた急激な下落要因について探ってみましょう。
■9月4日に日経平均が大幅下落
日本の株式市場で急激な下落が起きたのは9月4日のことでした。
日経平均株価は前日比で4.24%安、TOPIXは3.65%安をマークします。
株式市場はそもそも多少の乱高下があるものですが、今回の動静は米国の内情に引きずられた感が強いようです。
9月3日時点での米国の株式市場では景気後退のリスクを感じた投資家が多く、米国の株式市場でもかなり相場が下がったという事情がありました。
日本の株式市場はどうしてもアメリカの市場に左右されるので、今回もこの影響を受けてのことと捉えられています。
ではアメリカで相場が下落したのはなぜなのでしょうか。
次の項では米国市場の株価動静について詳しく見ていきます。
■今回の下落の要因は?
直近の米国市場で目立ったのは半導体関連の業種における下落です。
アメリカの半導体大手といえばエヌビディアが有名ですが、同社の株式が前週と比べて9.5%安を示しました。
この減少幅はかなりのインパクトのある数値として捉えられています。
しかしエヌビディアに限らず、半導体といえばここ数年で需要が急上昇している印象で、成長業界としてのイメージが強いと思います。
なぜこの業界の勢いにストップがかかったのでしょうか。
この点について、ここ数年の世界的な情勢をみながらさらに深掘りしてみましょう。
■コロナ後は半導体特需の状況だった
大半の方のイメージ通り、実際に半導体業界はかなり勢いのある状態が続いていました。
というのも、コロナによる影響が世界中に蔓延していた頃に一気にオンライン需要が高まりましたよね。
世界中でデータが大量にやり取りされるようになり、その処理をするために必要となるIT機器の需要が一気に高まりました。
国内でもリモートワークが急増したため対応に四苦八苦した会社が多かったと思います。
専用機材の調達に苦慮した記憶がまだ残っていますが、そうした需要の増加で半導体の供給が追い付かないといった事象も見られました。
半導体の売り上げは伴って急増し、関連企業もブームの沸騰に追いつくべく生産を進めましたが、それでも十分に需要に追いつくことはできませんでした。
しばらく供給不足が続くと思われたころ、コロナ情勢が少しずつ落ち着いてくると同時に需要の熱にも一服感が見られるようになります。
半導体産業にテコ入れを考えていた投資家にとっては、さらにテコ入れを進めるか、様子を見るかで足踏みがみられるようになります。
下手に突っ込んでも特需が終われば投資の回収が難しくなる恐れがあるからです。
しかしそこに登場したのが例の生成AIブームです。
■生成AIブームが到来
生成AIの登場はIT業界のみならず、ほぼすべての産業や業種に大きな影響を与えました。
これまでとは格が違うAIの登場で、仕事の進め方やビジネスのあり方が大きく変わる転換点となるものです。
生成AIは企業はもちろん、個人でも広く利用されるようになり、この方面の影響からも半導体需要が増す結果となりました。
では投資家としてはやはり大胆に投資に突っ込むべきかというと、必ずしもそうとは限りません。
生成AI向けの半導体は製造のハードルが高いため、対応できる企業の生産力が追い付かず供給は大幅に増加しないとの憶測があります。
またこのブームが必ず持続して沸騰し続けると判断するにはリスクもあり、判断を誤ると投資の回収が難しくなる恐れがあります。
そのため生成AIブームによる半導体需要に突っ込みすぎることには少し前から警戒感があったのですが、今回の半導体関連の落ち込みはこれを示唆したのではないかと考えられます。
それでも、AIブームが近々に立ち消えることは考えづらいので、今後もしばらくは堅調な成長が望める分野と見て差し支えないでしょう。
この方面では投資家の力の入れ具合で今後も多少の乱高下が起きる可能性を考えておきましょう。
■まとめ
本章では直近の株価下落の要因について見てきました。
日本株は米国市場の影響を強く受けることから、米国市場における半導体関連株の下落に引きずられる形で日経平均も下落したものと思われます。
半導体関連は今後も堅調な成長が期待できる分野ですので投資から撤退する必要性は薄いと考えられますが、今後も多少激しめの値動きを見せる可能性があるので、そのつもりで心の準備をしておいてください。