前回の東京五輪はコロナの渦中にあって、開催国日本としては散々な目にあったという印象が強かったですね。
それでも、色々な見方があるものの東京五輪では消費押上げの経済効果が約2560億円の規模であったとの推計があります。
この回では、今回のパリ五輪でどれくらいの経済効果が見こめるのか探ってみたいと思います。

開催国フランスにおける経済効果は？

オリンピック開催における経済効果については識者の見方や考え方によって色々な違いがあることはふまえた上で、主には以下のような効果があるとされています。

①直接効果

まずオリンピックを開催することの直接的な経済効果として、チケットの売り上げや運営に関わる直接的な投資効果があります。

②一次波及効果

直接の経済効果に隣接する需要を満たすサービスやモノの消費を一次波及の経済効果と言います。
ザックリとしたイメージで言えば、観客が現地で直接消費するサービスやモノの購入です。
現地を訪れた人はホテルなどの宿泊サービスを利用しますし、食事にも支出します。
大会関連のグッズもオリンピック需要にはつきものですので、こうした支出が経済効果をもたらします。

③二次波及効果

上の直接効果と一次波及効果で生み出された富は現地で働く人々の糧になります。
その糧はいずれフランス国内に出回り経済を潤します。
これが二次波及効果です。
こうした種類があることをふまえて、現地ではどれくらいの経済効果が見込まれているのでしょうか。
現地メディアによると、パリ五輪・パラリンピック組織委員会による推計で67億700万ユーロ～111億4500万ユーロ（日本円で約1兆1300億円～1兆8800億円）の経済効果が見込まれるとの試算を公表しています。

日本国内の経済効果は？

前項で見た経済効果は開催地パリを有するフランス国内における経済効果ですが、今回のオリンピックが日本にもたらす効果としてはどうでしょうか。
ある専門家はコロナ下のダメージを受けた東京五輪よりは経済効果が見込まれるものの、リオ五輪よりは効果が薄くなるのではとの見方をだしています。
リオ五輪の経済効果は2621億円程度とされているところ、これよりは今回のオリンピックの経済効果は低くなるのではと見込まれています。
開催国でない日本でオリンピックの経済効果を得られるチャンネルは限られていますが、観戦ツアーへの参加やテレビの買い替えなどは一定の需要が見込まれます。
ただ、近年は多くの競技種目が無料で見られますし、オリンピックだからと大画面のテレビに買い替えるという行動はさほど見られなくなっています。
映像コンテンツは非常に多様化していて、オリンピックも昔のような「特別感」を感じにくい時世です。
また無料で競技を観戦できることは、現地へのツアー需要も弱める効果が働きます。
そして今回のパリ五輪は人気種目が日本時間の夜中に行われるものが多いため、皆で集まってワイワイやりながら観戦するという機会を持ちにくいことも指摘されています。
活動時間帯であれば、スポーツバーなどに集まってワイワイやる、あるいは宅配サービスや中食などを利用して仲間で集まるなどの機会が持てます。
これにより飲食などで経済効果が見込まれますが、今回はこのような機会が持ちにくく、飲食業界へのメリットは薄いとの指摘もあります。
昔のような特別感を感じにくくなっていることも大きく影響し、総じて日本国内の経済効果が発揮されにくい状況という指摘が多く見られます。

ツアー観戦は円安の影響も

日本からも多くのツアー客が選手の応援に駆け付けたことでしょう。
日本人選手も日の丸の応援はとてもありがたいと思いますので、ぜひ力強い応援をお願いしたいところです。
ただツアー方面では円安の影響は見過ごせません。
海外に出た日本人旅行客が物価高で散々な目にあっていることは皆さんも日ごろ聞いていると思いますから、そうした事情の下で現地ツアーに参加するハードルは高いと予想されます。
残念ながら、円安が一定程度の需要押し下げ要因になっていることは間違いないでしょう。

まとめ

この回ではパリ五輪の経済効果について考えてみました。
東京五輪もそうしたが、オリンピックは莫大なコストがかかる反面、それ以上の経済効果が見込まれます。
開催国でその恩恵があるのは当然として、「オリンピック特需」は様々な形で世界に経済効果をもたらします。
年々その影響は薄まっている印象ですが、余暇の楽しみ方に多様性が生まれている中で、やはりオリンピックの特別感が薄れているという印象が強いです。
それでも、4年に一度のお祭りとして気分の盛り上げ役になってくれると思いますから、人によっては眠い目をこすって夜中に観戦している人もいると思います。
それぞれの楽しみ方でオリンピックを満喫できるといいですね。